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【特別編】三陸の記憶〜大槌町『クイーン』〜

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【特別編】三陸の記憶〜大槌町『クイーン』〜
【特別編】三陸の記憶〜大槌町『クイーン』〜
2007年の1月3日、陸前高田のジャズ喫茶『ジョニー』へ足を運んだ翌日、私は帰京する高速バスに乗り込む前に、もう一軒、三陸海岸沿いの町にある老舗ジャズ喫茶を初訪問している。
釜石の北、上閉伊郡大槌町にある『クイーン』というジャズ喫茶だ。
大槌町もまた、今回の震災で町が「壊滅状態」となってしまった。
私の記憶の中では、陸前高田の町(商店街)よりも相当開けていた記憶がある。
やはり、魅力的なジャズの店が存在する横浜野毛辺りの雰囲気に似ているかもしれない。
残念ながら、町並みのことを詳しく書き留めておかなかった。
以下の文章もまた、私のジャズ・サイト(【ALL THAT JAZZ】)内のブログで2007年正月に綴ったものだ。




タイトル「ジャズ喫茶詣;大槌町(岩手)『クイーン』」


岩手の母の許(実家)で過ごした年末年始。
その最終日、東京への帰路は深夜高速バスのチケットを始発の釜石から取っていた。
1年前に地元の方に教えて貰った食事処(1階の精肉店経営)で食べた定食のステーキの味が忘れられなかった。ついでに、街をぼんやりと歩いてみようと思っていた。
陸前高田のジャズ喫茶『ジョニー』へ行く前夜、ネット(携帯電話)で情報を得ているうちに、釜石には『タウンホール』というジャズ喫茶があることを思い出した。
そこで午後からジャズを聴いて、件の定食屋で夕食を取り、深夜バスに乗り込む。
そのコースでいこうと思った。
が、昨夕、『ジョニー』を辞す時に照井由起子店長に言われた。
「どうせなら、大槌町まで足を延ばせばイイのに」
そうだ、三陸鉄道の南リアス線を釜石よりも更に北上すると、同じ岩手の上閉伊郡大槌町にやはり老舗のジャズ喫茶『クイーン』があったのだ。
「先に『クイーン』に寄ってから、バスの時間まで釜石で過ごす。是非、そうして下さいな」と念を押された。
そうだな、と思った。今回のように時間に余裕がある機会でないと、東京程交通(鉄道)の便が豊かではない岩手の三陸路のジャズ喫茶は廻れない。
釜石『タウンホール』は次の機会にし、大槌町『クイーン』1店に絞ることにした。

午後、12月に建立されたばかりの父の墓を母と共に訪れてから、母と別れ、旅行鞄を手に、三陸鉄道南リアス線&JR山田線で大槌の駅へ降り立った。乗車前に店に電話をし、今日の営業を確認していた。電話の向こうの男性、佐々木賢一店長は私が東京から来たことを伝えると「ほう〜っ」という声を挙げた。その響きからは、少なくとも嫌がられていない感触を得た。
16時近くに下車し、ネットで確認した地図を頭に、一路早足で向かう。
5分程歩くと、すぐに現れた。
店内の様子は表からは見えない。正月飾りをしたドアをゆっくりと開ける。
左手にカウンター、右手の部屋から(ジャズ雑誌等で目にしていた)佐々木賢一店長の髭面がヌッと現れた。
「先程電話した、東京から来た者です」と名乗り、右手の部屋に通される。
佐々木店長の特等席があり、その前に卓とそれをグルッと囲むソファ。東京にあるようなオシャレ系ではなく、アットホームなジャズ喫茶であることは一目瞭然。
壁には、陸前高田『ジョニー』同様の秋吉敏子さん等のポスター、一関『ベイシー』同様のカウント・ベイシーや野口久光氏絡みのポスター、1958年8月のNYハーレムで撮った「エスクァイア」誌(ジーン・バック)の有名な集合写真のポスター、岩手の他のジャズ喫茶オヤジ達と撮った写真、その他岩手のジャズ文化の豊かさを物語るようなチラシ等が数多飾られていた。
マスターの特等席の真正面にはジャズ関連書籍と(置き場所に困り果てた)CDが数多積み込まれ、その奥からレコードの音が聴こえてきた。スピーカーの存在は見えない状態だが、不思議と音は篭ることなく、クリアに聴こえてきた。
暫くしてマスターがコーヒーを運んできて、スピーカー正面の特等席に腰掛けた。
それから2時間半近くをこの老舗ジャズ喫茶で過ごしたのだが、レコードは勿論廻り続けていたが、殆どの時間は店長である佐々木賢一氏と話し込んだ。
日本のジャズの現状、昨今のジャズ・リスナーの姿勢、都市と地方のジャズ文化の違い等を、硬軟織り交ぜて楽しく語らった。岩手のジャズ文化の豊かさを実感し、『ベイシー』をはじめとする他の岩手のジャズ喫茶(&個性的な店主達)の興味深いエピソードは聞いていて飽きなかった。
「岩手に素晴らしいトランペッターがいるんだ」と薦められたのが、石川明なる(他に仕事を持つ)アマチュアのプレイヤー。(やはりアマの)板倉康太郎(p)トリオとの『帰れ美しき日本へ』という自主製作CDを聴いたのだが、実に素晴らしい音を出す。岩手の猛者ジャズ喫茶オヤジ達や本場アメリカのミュージシャンを唸らせただけのことはある。惚れた。機会あらば、是非、生の演奏を聴いてみたいものだ。

私の方からは高瀬龍一(tp)を薦めた。
「地方だと、マイナー・レーベルのCDはなかなか手に入らない」と言うマスターに高瀬の『イズ・ノット・ヒア』をいつか寄贈したい。

居心地良く、釜石行きの電車の時間ギリギリまで、コーヒー2杯とビール1本を飲みながら、居座る。
ビールにスナック菓子の摘みをつけてもらった他、バイトの女のコが焼き直したクロワッサン(チョコ味)やリンゴやミカン等もご馳走してもらった。
計1600円(『ベイシー』のコーヒー2杯分)。

二人に店の外まで送っていただき、気持ち良く店を辞した。
また、いつか訪れたい。
お世話になりました。




ところで、「計画停電」がスタートした首都圏で、例えばカップ麺の類いを大量に買い込む人々が現れているという。
電車の運行の乱れが通勤客を慌てさせるのは理解出来るが、家庭の一日3時間程の(予告しての)停電に何故そこまで慌てる必要があるのか。
イイ大人(主婦)が何をやっているのだろう。
いつも通りの生活を心掛ければたいしたことではなかろうに。
停電中は冷蔵庫の開け閉めを控えれば良い。凍らせておいた保冷剤を庫内に配しておけば不安になることはあるまい。
冷凍庫の中のものは、クーラーボックス&保冷剤でやはり充分に対応出来る。
私の場合は、良い機会だから、冷凍保存してあるものはこの際全て熱調理して、総浚いしてしまおうと思っている(案外、相当に時間が経っているものがあるものだ)。
心機一新の良い機会ではないか。
電気もガスも普通に通っているのに独占的になるのは何だか見苦しくないだろうか。
主婦なんだから、工夫して、真っ当に自炊してくれよ、と思う。
カップ麺等を必要としている人々は彼の地(同じ地繋がり)に数多いるのだ。
ちょっとの創意工夫で危機を回避出来る都会の人々がこんな浅ましいことをしてしまっては、例えば、これからのボランティア活動のアクト(&気持ちのベクトル)に対し、妨げになってしまうではないか。
何故、そのような発想(想像)が出来ないのだろう。
嘆かわしいことこの上ない。

私は、日頃から「ちょっと不便」を意識して過ごしている(携帯電話を持ち歩かない日を作る等)。
だから、多少の不便が生じても、懸命に職務を熟している人間に対して徒らに目くじらを立てたりはしないようにも心掛けている。
この大震災は、日本人各々の心の在り様、人間力をも試されているのではないか。
簡便さに馴らされた都会暮らしの中で、一人一人が心の持ち様や言動をもう一度省みる良い機会でもあると思っている。
私は、個人的には、被災者に対して「頑張って!」とは言えない。
「我々が頑張るから(貴方達を支えるから)」ではないだろうか。
同じ日本人としてそう思いませんか?


まずは、母の安否だ。
父が急逝してから、長いこと、一人ぼっちにさせてしまった。
このまま、人生を終わらせる訳にはいかない。
それじゃ、あまりにも哀しい。

次に書く記事で朗報を伝えられたらと思う。

さて、岩手県警が新たに設置した「避難者情報」と通じることを願って、また頑張ろう(実は今朝8時半のスタートからリダイアルし続けているのだけど…)。



P.S.
夜の停電にも対応出来るのが、愛用している、自由が丘の『無印良品』で購入した「持ち運び出来るあかりLED」(2枚目の写真)。
10時間は照らしてくれる。
「計画停電」?
どんとこ〜い!



○追記(2011年3月末)
陸前高田『ジョニー』の照井由起子さん、大槌町『クイーン』の佐々木賢一さん、お二方共無事が確認出来ました。
「壊滅状態」と報道された両町のあの映像を観る限り、店も津波に巻き込まれたり大打撃を受け、文化遺産とも言えるレコードも逸してしまったかもしれない。
が、長い歴史に置いて、店を愛してくれたジャズ・リスナーの手も借りつつ、いつか名店達が各々の街に再建されることを願ってやまない。
岩手のジャズ及びジャズ喫茶文化は(夜な夜な複数の店で有名ミュージシャンがライヴ演奏をする東京とはまた違った)豊かさと根付きの土着性がある。
私はその一端しか齧っていないが、廃れて欲しくはない。
今後の人生において、何らかの形で支援し、再興の際には(足繁く通いたい意志も含め)永続的に応援していく所存だ。
岩手のジャズ文化のこれからを心から見守っている!


『無印良品』グッズ
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途夢b待人
プロフィール公開中 プロフィール
“女神の街”に80年代初から心寄せ続ける男の、「WJJ」(WINE,JAZZ,&自由が丘)興趣の随想録。
明日(次代)の風情&情感+感応(眩耀)に期して。
[2007.2.20-2011.5.17]
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