泣きたいませんが涙

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名古屋なら俺は

飛行機を使えば、とくに遠くはないだろ」
「いいんですか、そんなことしてて」
「俺《おれ》? いいよ。気楽に生きるために今の仕事やってんだもん。授業があるのは一週間に四日だけ。あとはどうせ映画みたり、本を読んだりしているんだ。君のほうこそどうなんだ」
「前よりは時間が作りやすいけど、そうひまだらけってわけじゃないわ。食べて行かなきゃ駄目だし」
「そりゃ、そうだ。地図をすっかり埋めたら……なんかいいことが起きるんじゃなかったっけ?」
「なにが起きるかしら」
「天変地異かな」
「そうかもしれないわよ」
「どこがいいかな。愛知県、まだだったろ」
「名古屋ね」
「そう。それから三重県。近いよ。俺も行ってない」
「そうねえー」
 と、ためらう。
「無理かなあ」
「なんだか昔より……」
「昔より、どうなんだ」
「積極的になったみたい。前はもっと……どういうのかしら」
「ぐずぐずしていた」
「うーん。ゆっくりしていたわ」
「そんなには変ってないサ。ただ楽しいことは遠慮なくやったほうがいいと思って」
「そりゃそうね」
「だから行こう。無理かな」
「あんまり急だから。少し考えさせてくださいな」
「それはいいよ。名古屋なら俺は毎週行ってるし」
「それじゃつまんないでしょ」
「名古屋を起点にして三重に行く。あるいは滋賀。まだだろ」
「滋賀へは一昨年、行ったわ。北のほうがいいんじゃない、暑いから」
「言える。北と言うと……よし、ぬり絵を作ろう。どこへ行ってないか、チェックをして」
「ええ……」
 と、朋子は煮えきらない。
「まずい?」
「特にまずいことはないけれど……あんまり急だから」
 と、同じことを言う。
「うん」
 中彦は朋子の心にあるものを推し計った。
 考えてみれば当然かもしれない。なにしろ八年ぶりに会ったのである。昔の親しさがすぐに戻って来るはずもない。気持ちの問題ばかりではなく身辺のさまざまな事情が障害となる。ぬり絵の地図なんて……ただの遊びでしかない。
「どうして独りなの?」
 と朋子が聞く。
「特に理由はない。なんとなく……」
 おそらくこの答は九十パーセントくらい正しいだろう。だが、若干の説明不足が含まれている。
 一つは……ここ数年、何人かの女性と親しくなる機会がなくもなかったけれど、いつも中彦の心の中で、
 ——朋子のほうがよかった——
 と、そんな意識がうごめく。
 相手の女性をそれほどよく知っているわけでもないし、朋子の人柄だって知らない部分が多いのだが、それでも野島崎を訪ねた頃の親しさだけを考えてみて、


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