お風呂の春

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自分の運命

「ほづみ君のせいやないよ。みんなそれぞれ、自分の運命のままに生きとるだけや。俺とほづみ君の出逢いも、間違うて夕美が薬を飲んでもたのも、亜郎がかかわったんも。たーまたま、自分の運命の中で出逢いがあったに過ぎん。それに」と、うなだれたほづみの顔を覗き込みながらニヤリと笑い(こんなオモロいこと、普通は体験どころか、見ることも叶わへんで)と耳打ちした。

「あいつ…亜郎かてそやろ。夕美めあてとか、他に思惑があるにしても、持ち前の好奇心が抑えられへんのや。あれはあれで、楽しいんや。気にせんでエエよ」

「先生…」
「あ。いま俺、エエ事ゆーた?けど感動したからっちゅーて、キスとかハグはせんといてや。俺、男とそーゆー趣味はないねん」
「…僕だって願い下げですよ」耕介のこの明るさに何度救われただろうか。
 苦笑いするほづみだった。
 だが同時に幼い頃、キスやハグをしてくれた人の事をふと、思い出さずにはいられなかった。

「なんもあらへんけど、文句ゆーたらドツク」

 夕美のこの言葉で、亜郎はその日の須藤家の晩餐にいざなわれた。
 もちろん文句どころか、感動で胸がいっぱいである。しかも “なんもあらへん” どころか、テーブルの上はかなり豪華だ。
 豚肉のソース炒め、タコとわかめの酢の物、数の子のワサビ和え、茄子の煮浸し生姜添え、トマトとカラシ菜のサラダ…庶民的なメニューではあるが、栄養価を意識した色とりどりの献立はみな、美味しそうな匂いを放っている。
「あの…。残りもんの温め直しでも構へんね?」
「…………はい、もちろん!」
 生物の三大欲だけで日々を送ってるような若い男にとって、自分が好きな女の子が作ってくれる食事と言うだけで既にふたつの欲望をクリアしているのだ。感動しないはずがない。

「お父ちゃんにはしゃあないから、おかゆやで。」
「ほえ。」耕介の両の目から、つつ、と涙がこぼれた。こちらは許され温かい言葉をかけられての感涙だ。
「わ。泣きないな!オカズ食べたらあかんとはゆーてへんで。食べたかったら食べたらええやんか。やらしいなあ、泣かんでもええやん。なんか私がシュウトイジメしてる悪嫁みたいやん!」
「いや、夕美ちゃん、涙の意味が違うから。それにホントのお父さんだし」


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